伝票ホルダー<最終回>

また今日も伝票ホルダーの話で恐縮です。
それだけ伝票ホルダーに『想いを込めている』てことでご容赦ください。

販売を開始してポツポツとご注文をいただいております。
新年度が始まってから半年過ぎ、
正直、
大変お待たせしてしまった申し訳なさよりも、
漸く届けられた安堵感の方がまさっています。

実は2年くらい前から、
右手用については早晩、販売が継続できなくなる時が来るだろうと
何となく考えておりました。
それは、販売個数が減ったきたことと製造原価の上昇により、
利益が出なくなってきたためです。
ご採用いただいている先生方にご発注の見込みや値上げのことで
何度もヒアリングをさせていただきました。
(その節にはお世話になりました。)

そんなこんなで、別の形や素材で新しく作れないか
デザイナーさんとも何度か打合せをしておりました。
ただ、斬新なアイデアが生み出されずに、
「何かいいアイデアないかな」と何となく時間が過ぎてしまいました。
そこに降って湧いた工場からの「もう作れません」宣言。
今年の3月以降は、今までの形でどう継続するかで頭を悩ます半年間でした。

弊社のマーケティングの状況からは、
右手用の販売見込み数は年間500個です。
商売としてはまったく旨みはありません。
本当はこのまま販売終了にしようと何度も思いました。
しかし、たぶん一般の生徒さんよりも部活の生徒さんが使うんだろうなあ、
競技会で勝ちたいと思っているんだろうなあなどと慮るうちに、
出来れば作って届けたいなという想いに駆られるようになりました。
なぜなら、弊社の社訓は Hospitality for someone ですから。

新商品はMDFという素材で制作することになりましたが、
天然ゴムと違い、なかなか量産が出来ません。
職人さんが一つ一つ、丁寧に切り出してくれています。
それを生徒さんの負担にならないよう格安で引き受けてくださいました。
先方もご商売ですので、本来であればあまり値切るようなことはしたくないのですが、
私どもの想いに応えてくださいました。
その代わりに、お手すきのお時間のある時を見計らって作ってくださることになりました。
なかなか、弊社の都合で製造していただくことが難しいことを
お客様にもご理解いただければ幸いです。

右手めくり用のホルダーの発売開始にあたり、
お待ちいただいておりましたお客様にご連絡をさせていただいております。
「素材が変わったから実物を見て検討したいので見本を送ってください」
というお声もいただいております。
しかし、在庫が限られている商品ですので、見本に消費してしまうよりも
「すぐに使いたい」というお客様のお声に応えたいと考えております。
よって、見本提供はいたしかねますこと、ご了承ください。

今回、まったく儲からない商品に時間とコストを費やしたことは
商売的に言えば反省すべきことかもしれません。
しかし、ここまでの道のりの中で、自分たちは何のために仕事をしているのかを
あらためて考える時間を多く持てました。
その意味では必要な時間だったなと思っています。

弊社の商品にはすべて私どもの想いが込められています。
これからも想いの込められる商品を開発して参りたいと思いますし、
その想いをお客様と共有できたらいいなと思っています。