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《検定雑感》第153回日商簿記2級

「ここまでやるのか連結会計!」――今回の2級はこの文言に尽きると思います。
今回の検定試験問題は「連結会計」を除き基本事項を確実に押えていれば十分対応可能な内容でした。難しい問題に振り回されることなく基本事項を確実に身につける学習が重要であることを改めて思い知らされました。難問に固執することなく分かる問題を確実に得点することが、合格には欠かせません。これから受験を考えている人は、連結会計に関しては商企業の資本と投資の相殺、連結、連結会社間取引の相殺、債権債務の相殺、商品と土地の未実現利益の消去を確実に押えることが肝要かと思われます。
今回の試験は第1問、第2問、第4問、第5問でいかに高得点を得るかが合否の分かれ目でした。別のいい方をすれば80点満点の試験であったといってもよいでしょう。
第1問16点、第2問16点、第4問20点、第5問20点、合計72点で合格という試験だったのではないでしょうか。

<総論>
第1問の仕訳問題は、比較的基本的な内容であったと思います。新区分の論点として、圧縮記帳、電子記録債権の譲渡が出題されました。また、圧縮記帳後の減価償却方法に200%定率法、直接法による処理が問われました。問題文をよく読んで解答すれば特に問題はなかったと思います。4つは出来て欲しかった内容です。
第2問は文章題の出題でしたが、普段簿記処理で目にしている内容でしたから、日ごろの学習をしっかりこなしていれば高得点を獲得できる問題でした。これら文章題は日頃の簿記処理の基本を押さえておけば、特に対策を立てる必要はないと考えます。
第3問は連結会計の精算表作成の問題でした。ほとんどの受験者がお手上げ状態になったのではないでしょうか。前回の連結を参考に対策を立てた受験者の中には、時間を無駄に過ごしたと感じた人も多かったでしょう(無駄にはなりません、必ず将来役に立ちます)。その論点は製造業の連結であったため、連結企業集団の取引が複雑に絡んでいること、未実現利益の除去が複雑であったこと、債権債務の金額が不一致になっていること、手形の裏書や割引があること等、1級のレベルと思われるような内容が盛りだくさんの出題でした。今回は制限時間内で解答欄を埋める努力をするしかありませんでした。6点取れればよいところだと思います。
第4問は本社工場会計の仕訳問題でした。取引は難しくありませんでしたから、工場に設定されている勘定科目を確実に押えて仕訳をすれば満点が可能でした。
第5問は組別総合原価計算の原価計算表と損益計算書の一部を作成する問題でした。仕損も減損もない単純な内容でした。加工費を組別に按分する計算を誤らなければ、第4問同様満点が可能であったと思います。損益計算書の一部を算定するのに多少時間がかかる問題でしたが、持ち時間で十分解答可能でした。

<各論>
【第1問】仕訳問題の問題1.2.4は正解して欲しい内容でした。1は業務委託費を研究開発費に含めること、3.は200%定率法の直接法であること、5.は配当に伴う利益準備金の積立限度額の算定、これらに注意がいけば4つは正解できたはずです。
【第2問】文章題でカッコの中に語群から最も適当なものを選ぶ問題でしたが、一部金額の算定がありました。税金の種類と内容、収益の認識基準、合併の処理、有価証券の種類と処理に関する問題でした。普段会計処理として目にしている内容でしたから、8割は獲得しないといけなかったと思います。文章題は日頃の会計処理をしっかり学習することで対応可能です。
【第3問】連結会計でしたが、受験者にとっては難問でした。受験指導機関でもここまで予想は出来なかったと思われます。受験者は、最後まで諦めずに、投資と資本の相殺消去、連結会社間の取引と債権債務の相殺消去の分かるところだけでも答案用紙を埋める努力が必要でした。それだけでも埋まっていれば6~8点は獲得できたはずです。今後製造業の未実現利益の除去、手形の裏書・割引を率先して学習する必要があるのか疑問が残ります。
【第4問】本社工場会計の仕訳の出題でした。本社工場会計で問題になるのは原材料や製品のやり取り、現金などの支払関係等本社と工場の境目にある取引です。特に難しい取引はありませんでしたから、工場に設定されている勘定科目を確実に押えて解答すれば、満点が獲得できる内容でした。
【第5問】組別総合原価計算の℉原価計算表の作成と損益計算書の一部作成の出題でした。総合原価計算では仕損や減損の処理が問われますが、本問はこれらがありませんでした。加工費の按分計算が正確にできればあとは転がし計算をするだけなので、第4問同様満点が狙える問題でした。損益計算書の一部も求められているため、計算量が増えるので迅速な対応が必要でした。