日商簿記検定2級-次の145回検定で合格するために-

11月20日に第144回日商簿記検定が終了しました。受験者の皆様お疲れ様でした。
難しかったという人、簡単だったという人さまざまだとは思いますが、ここで試験問題の印象や今後の勉強方法について書いてみようと思います。

1.試験問題の印象
第1問 仕訳問題
かつては、5問中4問は得点可能な出題内容であったように思われますが、区分表の改定が発表されてからは3問正解するのが精いっぱいという出題が続いています。今回も同様でした。その理由としては、取引文章から過去にどのような処理を行ったかが読みにくくなっていること、勘定科目の選択に迷う取引であること、取引文章が難解であることがあげられます。

第2問 各種取引問題
今回の出題は商品売買取引でしたが、問題を見た瞬間に頭の中が真っ白になった受験者も多かったのではないでしょうか。
有名な受験指導校でさえ予想困難な出題内容・形式でした。偏った受験対策では通用しないという点では良い傾向ですが、高得点を得られないという点では受験者泣かせの出題でした。
実は「継続記録法」と「販売のつど売上原価勘定に振り替える方法」とは密接な関係にあります。本問のように「先入先出法」によれば販売のつどその払出原価が明らかになるわけですから「販売のつど売上原価に振り替える方法」が妥当な処理方法であるといえます。今回はそこの理解を問うための出題であったわけです。基礎では誰もが通過している論点だったのです。

第3問 決算総合問題
今回は多くの受験者が得意とする精算表の作成問題でした。
決算整理事項には特に難解なものは見当たりません。ボリュームもそれほどとは思えませんので、高得点が狙える出題であったと思われます。

第4問 材料費会計(過去122回出題と類似)
費目別、仕掛品の勘定体系がしっかり理解できていれば高得点が狙える出題であったと思われます。

第5問 単純総合原価計算
材料追加投入の生産数量の算定、仕損品の負担関係が理解できているかが高得点を得るためのカギであったと思われます。

2.今後の勉強方法
今のままの傾向が続くとすれば、工業簿記(第4問・第5問)と第3問で50点以上を獲得する必要があります。そのうえで第1問で12点以上、第2問で10点以上を獲得して合格点突破です。

第1問
基礎をおろそかにしないことが大切です。そのうえで問題集や過去問を解いて「言い回し」に慣れることが必要です。3問以上の正解を目指しましょう。

第2問
パターン化した対策問題にとらわれすぎた学習は避けるべきです。原点に返り、処理と手続きを確実に抑えることです。
太刀打ちできないという難解な論点を出題しているわけではありません。同様の論点を複数からめたり、ボリュームを豊かにしたりと時間がかかる問題になっているだけです。よって、時間配分に気をつけて練習することが大切になります。10点狙いでよいと思います。また、スピードアップのため日頃からボリュームの多い問題にも接しておくことが必要です。

第3問
第2問同様パターン化した対策問題では対応できません。内容は第2問とのバランスで難しくなったり、やさしくなったりしているようです。よって、第2問とのバランスで時間配分を考える必要があります。内容は問題文章を読めばどう処理すればよいかヒントがあります。個別的な論点を確実に身につけることはもちろん、スピードアップのため、日頃からボリュームの多い問題にも接しておくことが必要です。

第4問、第5問
満点を狙って学習する必要があるかもしれません。頭の中が真っ白になるような出題は考えにくいので、これまでのように勘定体系を意識し、基本を確実に抑えることが大切です。

すべてにいえることは、予想問題に振り回されず、どのような形式にも動揺しないために基本を確実に抑えること、ボリュームの多い問題を数多く解いてスピードアップを図ることが大切です。
上記を考慮して作成した当社の『日商簿記2級直前もし』は、出題区分表に忠実に、また、どのような角度からの出題にも対応できるよう、解説に〈参考〉として注意すべき論点を展開しています。本文の「問題が解けたから終わり」ではなく、解説を熟読することで、今以上の応用力が身につくものと確信しております。次回検定対策として是非ご活用ください。

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