第147回日商簿記検定2級講評

[商業簿記]
第1問の仕訳問題は難解でした。ある程度学習した受験者とそうでない受験者との差がつかない内容であったようにも思われます。高い点数を得た受験者は、基本取引文章の一字一句をしっかり読み込む訓練を、相当したであろうと思われます。昨今の仕訳問題は、基本学習が十分で、かつ文章を読み込む力が付いている受験者が高い点数を獲得できる内容になっています。
第2問は、予想どおりといってよいと思いますが、連結会計が出題されました。初めての出題ということもあり、基本的な内容の問題でした。連結1年目の資本連結の仕訳を問うものでしたが、連結会計の基本学習に時間を割いた受験者は、高い点数を獲得できたものと思われます。
第3問の総合問題は、第1問、第2問の難易度が高いので、ある程度セーブされたのか、基本的な内容であったように思われます。基本学習に力を注いだ受験者は高い点数が獲得できたのではないでしょうか。

[工業簿記]
第4問は、本社工場会計の工場側の仕訳を問うものでしたが、基本的な論点がすべてでしたので、基本学習に力を注いだ受験者にとっては、得点源だったのではないでしょうか。
第5問は、パーシャル・プランによる標準原価計算の勘定記入と損益計算書作成の問題でしたが、第4問同様、基本論点として、普段何度も練習している内容ではなかったでしょうか。ここでも高い点数を獲得できたものと思われます。

今回のみならず検定試験で合格点を獲得するためには、「基本事項の徹底した学習」の大切さを身にしみて感じます。

第1問 仕訳問題
全体的に難解な問題でした。さまざまな受験指導校で予想した内容からは大きくかけ離れた問題だったようです。最近の仕訳は、付け焼刃の学習では到底太刀打ちできない取引内容が数多く出題されています。
1.は建物工事の完成と旧固定資産の除却の複合問題でした。従来ですと工事の完成か除却のどちらかが出題されていました。
2.今年度から新たに加わった為替予約の振当処理を問うものでしたが、為替予約が外貨建取引の前に締結されている場合の振当処理の例外処理を問う内容でした。問題文の指示どおりに処理すれば正解を導けるのですが、そこまで読めたかどうか疑問です。
3.クレジット販売の返品処理の問題でした。販売時の取消仕訳をすればよいのですが、手数料の支払処理、消費税の計上が含まれていますので、難解な問題になっています。
4.リース会計の出題でしたが、基本書のリース会計ではリース料後払いのケースが多く、その場合はリース資産とリース債務の計上とリース料の支払を分けて考えればよかったのですが、本問ではリース料が前払いで、上記の取引が同時に行われているという内容でしたから悩んだ受験者は多かったと思います。
5.ソフトウェアの完成と保守費用の計上取引でしたが、保守費用の前払い分の処理ができなかった受験者が多かったようです。

第2問 合併会計と連結会計
問1 合併会計については、仕訳とのれん勘定への記帳問題でした。これは従来の2級らしい問題でしたから正解しなければはいけない問題でしょう。
問2 連結会計については、子会社株式の取得から始まって決算時の評価、そして連結の処理までの一連の手続きを設問する内容でした。サンプル問題から類推するともう少し複雑な内容が含まれていると思いましたが、初めての出題ということで連結の一巡を理解する上で最低限必要な資本連結の仕訳に落ち着いたものと思われます。100%未満取得の資本と投資の相殺消去、のれんの償却、子会社の当期純利益の非支配株主への振替は資本連結といわれる連結会計でも中心になる部分です。次回以降も連結会計は出題されますので配当金の整理を含め確実に抑えておきたい範囲です。連結会計をしっかり学習した受験者にとっては、簡単な問題に映ったのではないでしょうか。

第3問 損益計算書の作成
未処理事項、決算整理事項から損益計算書を作成する問題でしたが、内容は基本的なものでした。とはいってもボリュームは豊富であり、迅速かつ正確に解答することが求められます。総合問題で満点を取るのは至難です。80%は確保したいところでした。ここでも日ごろの基本学習の成果が得点に結びついているようです。

第4問 本社工場会計
工場側の仕訳を問うものでしたが、特に悩む取引は無かったように思われます。材料費会計、労務費会計、経費会計、製造間接費会計の基本を理解していれば高得点が可能な内容であったと思われます。

第5問 パーシャル・プランの標準原価計算
仕掛品勘定の記入と損益計算書の作成という問題でしたが、パーシャル・プランとは何かを知らない受験者にとっては、全く歯が立たない問題だったのではないでしょうか。前回標準原価計算が出題されたから今回は無いと読んだ受験者もいるようですが、標準原価計算は基本学習項目から外せない内容です。原価標準、生産・販売データ、原価実績が丁寧に書かれていますから、標準原価の金額、原価差異の金額も容易に算定できたと思われます。高得点が期待できる出題でした。