《検定雑感》194回全経簿記検定

■3級商業簿記
第1問の仕訳問題は、会社の設立、消費税の授受、貸倒れ等、論点が固定され、繰り返し出題される安定した内容になっています。
第2問の計算問題は、損益法や財産法の考え方から各金額の推定が出題されました。
第3問は伝票の記入面から各勘定口座へ転記される問題が出題さました。
第4問の帳簿記入では、は小口現金出納帳の記入が出題されました。
第5問の精算表では、変更後決算整理事項として消耗品未使用の資産計上、費用の見越し繰延べ、現金過不足の整理が出題されました。精算表の出題形式は固定されたようです。
3級商業簿記の出題内容が改定されて今回で9回目を迎えました。ほぼ出題内容が安定したように思われます。
弊社発行の「全経簿記検定試験PAST3級商簿」や「完全分類全経簿記3級商簿」は改定後の出題内容を網羅していますから、本書で学習した受験者は合格点を十分満たしていると思われます。
また、まだ出題のない論点が今後どのような形で本試験に登場するか予想は難しいですが、いち早く情報提供をしたいと考えております。


■2級商業簿記
第1問の仕訳問題では、試験規則改定後、出題区分表に示されている範囲は、引当金、収益・費用項目の一部を除きほぼ出揃ったようです。また、重要な論点は繰り返し出題されています。今後、引当金、収益・費用項目の一部がどのような形で出題されるのかを見極め、情報提供をして参ります。
第2問の計算問題では、新傾向の形式と従来からの形式の問題がバランスよく出題されています。今回は新傾向の形式である期首および期末の貸借対照表と主要勘定の記入面から各種金額を算定する問題でした。
第3問の帳簿記入では、仕入帳と売上帳から商品の次月繰越高と各種勘定口座への記入を求めるものでした。「全経簿記検定試験PAST2級商簿」に同様の問題が掲載されていましたから、本書を利用された受験者は満足できる点数を獲得したものと思われます。
第4問の伝票会計では、伝票の起票と集計表の作成、勘定口座へ記入する問題でした。この形式は久しぶりの登場ですが、「全経簿記検定試験PAST2級商簿」や「完全分類全経簿記2級商簿」に類似問題を掲載しておりますので、本書を利用された受験者は十分対応できたものと思われます。
第5問は精算表の作成問題(付記事項と決算整理事項から精算表を作成する)でした。これまでの出題でほぼ出題範囲は網羅されたようですが、本支店で見られる商品の評価は、試験規則改定後まだ出題されていません。出題状況を見て「全経簿記検定試験PAST2級商簿」「完全分類全経簿記2級商簿」を手直ししていく予定です。


■2級工業簿記
2級工業簿記の試験が開始されて今回で9回目を迎えました。出題形式にやや変化がみられるものの、難易度的にほぼ落ち着いてきました。第1問は原価の分類、第2問は仕訳問題、第3問は総合原価計算、第4問は勘定体系、第5問は個別原価計算という構成です。
パターン学習が可能だからといって、過去問題を暗記するという勉強方法ではなく、工業簿記の体系や手続きをしっかり理解する勉強方法を採ることが大切です。そのための対策書籍として、弊社からは今春「zbⅡ工業bw(全経2級工業簿記ワークブック)」を発売いたしました。


■1級商業簿記・会計学
第1問 理論問題
企業会計原則第二損益計算書原則からの出題でした。損益計算書の区分とそこに含まれる項目について問うものでしたが、日ごろ損益計算書の作成練習をしている受験者にとってはそれほど難しい内容ではなかったはずです。
最近の理論問題は、予想の立てづらい出題になっています。今後受験を控えている人にとっては、理論問題に多くの時間を割くのは得策とはいえません。過去問題の分析にもとづいた弊社「直前模試」の掲載問題を参考にされ、効率の良い受験勉強をしてほしいと思います。
第2問 仕訳問題
1級の範囲として重要な論点を中心に出題されています。固定資産の割賦購入、社債の決算整理、外貨建取引、欠損のてん補は比較的短い周期で出題されています。源泉所得税と法定福利費の支払についてはしばらく出題のなかった内容でした。いずれも重要な論点であり、弊社の直前模試でも重要論点として掲載しており、「直前模試」をしっかり学習した受験者は納得できる点数を得たものと思われます。
第3問 個別論点1
今回の個別論点問題1は有価証券の決算整理についての出題でした。満期保有目的債券、子会社株式、その他有価証券について期末決算整理仕訳を問う問題でしたが、「直前模試」に類似問題を掲載していましたので、納得できる点数が得られたものと思われます。
第4問 個別論点2
企業がグロ-バル化し、かつ大規模化している今日、外貨換算会計、連結会計、企業結合会計を習得することは欠かせません。今回はそのうちの一つ連結会計の出題でした。内容は過去の出題とほぼ同様であり、「直前模試」にも掲載していますので、納得できる点数が得られたものと思われます。
第5問 財務諸表の作成
損益計算書作成と貸借対照表の借方を作成する問題でした。論点は、「直前模試」の問題とほぼ同様でした。「直前模試」を何度も練習した受験生は、時間配分を誤らない限り高得点を獲得したのではないでしょうか。
弊社の模擬試験問題集「直前模試」は、以上のような論点に十分対応できる内容となっております。事前学習に利用された受験生は満足のいく点数が得られたものと思われます。また、これから受験しようと考えている学習者は、是非弊社の「直前模試」で応用力を養ってほしいと思います。


■1級原価計算・工業簿記
第1問 理論問題
今回の理論問題は、文章中の用語や数値の〇×問題でした。昨今は出題形式もいろいろ工夫されているようですが、原価計算基準の内容から逸脱したものではありません。原価計算基準の広範囲から出題されますが、過去に出題頻度の高い内容が出題されています。弊社の「直前模試」を参考に基本学習を進めた受験者には容易に〇×の判定ができたはずです。
第2問 仕訳問題
仕訳問題は、出題区分表の全般から出題頻度の高い論点を中心に出題されました。また、その論点は基本的かつ重要な内容です。弊社の「直前模試」をご活用いただき、学習をお進めいただきたいものです。
第3問 個別問題
個別原価計算における製造間接費の勘定記入が出題されました。基本的な間接材料費、間接労務費および間接経費の計算、予定配賦額、製造間接費の配賦差異の算定を求めています。久しぶりの出題ですが、基本的な内容でしたから指示に従って計算すれば高得点が可能な問題でした。
第4問 総合問題
等級別総合原価計算の各勘定記入、総合原価計算表、等級別原価計算表の作成、月次損益計算書の作成を問うものでした。等級別総合原価計算の出題は初めてであったと思います。受験者の多くは戸惑ったものと想像します。弊社「直前模試」第4問総合問題には掲載がありませんでしたが、単純総合原価計算の方法と、「直前模試」第3問に掲載している等級別原価計算の問題が結び付いた出題であることに気が付いた受験者は、何とか合格点を確保できたのではないでしょうか。
本書を利用された受験者には負担をかけてしまいましたが、今後の課題として生かしてゆきたいと思います。
毎回述べていますが、全経簿記検定の総合問題は、原価計算の手続と勘定体系がしっかり学習できていれば高得点が可能です。また、原価計算を理解する問題として、とても良い問題であると思います。原価計算を学習する人には一度は解いてもらいたいものです。
弊社の「直前模試」は、以上の点を考慮し、本試験に十分対応できる内容構成をとっています。
また、最近の傾向として、出題論点は安定しているのですが、出題の形式が変化しています。そこで弊社では再度傾向を分析し、受験者の希望に添える教材をこれからも提供して参りたいと考えています。