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[Vol.3]愛はニッチを救う!?~全経簿記検定試験問題集の話~

英光社が熱い思いで制作しているのは、Vol.1で紹介した「日商簿記」の問題集だけではない。
「日商簿記」に比べると、やや“マイナー感”のある「全経簿記」についても、全力で取り組んでいた。

[仕掛けたのはこの人]新井猛彦氏

父である先代の跡を継ぎ、株式会社英光社の代表取締役を務めながら、四六時中、誰もが楽しく学べる「仕掛け」を考えている新井氏。インタビューはこちら→
今回は、「日商簿記」や「全商簿記」に比べると知名度が低い検定として位置付けられている「全経簿記」について、熱い思いを語ってくれた。

「日商」でも「全商」でもなく「全経」にかける思い

簿記の検定試験の中でも「日商簿記」は、専門学校・大学生・社会人を対象とし、資格取得の最終目標とされることが多い。一方「全商簿記」は、商業高校生を対象とし、「日商簿記」よりも難易度が低いというイメージを持っている人が多いだろう。
では、「全経簿記」はどうだろうか? 「日商」と「全商」の間のような位置づけで、ややマイナーな検定と言えるかもしれない。
「だからこそ、あえて弊社は『全経簿記検定試験』の問題集を作りつづけてきました。途中から同業他社の参入もありましたが、それまではずっと英光社の独壇場でした。」と語る新井氏。なるほど、ニッチな市場を攻めてきたんだなと思ったが、むしろ逆だった。
「現場の先生方から、『全経簿記』についての要望を聞く機会が多かったんです。それなら、私たちがなんとかしないと!と思ったんですね。そのうち、『全経と言えば英光社』と言われるようになりました

大きな利益を生むよりも、まずは学ぶ人の期待に応えたい

とはいえ「全経簿記」は前述の通り、「日商」や「全商」に比べると受験者数が少ない。ということは、売り上げも少ないということだ。それにも関わらず、英光社では「全経簿記」の問題集をこまめに改訂しているという。
「全経簿記」の試験は、基本的に年に4回ある(1~4級の場合。上級は年に2回)。そのため、試験が終わるたびに新しい出題傾向への対策を盛り込まないと、合格を目指して学ぶ人に不親切だという思いがあるからだ。
「だからと言って、毎回きちんと印刷したものを出版するのは、時間的にも予算的にも厳しい。そこで、いろいろな人に相談したり、雑談したりする中から思いついたのが、オンデマンド印刷で問題集を作る方法でした」
こうして、英光社の『全経簿記検定試験PAST』は、現在のようなスタイルになったのである。
「これは、直近8回分の過去問をベースに、新傾向問題にも対応できるよう編集したものです。とにかく問題を解いてみることで、試験の傾向をつかんでほしい。そのためには、教科書のように丈夫である必要はないんです。むしろ消耗品であっていい。だから、印刷はオンデマンドにし、書き込むときにページを広げやすいよう中綴じにしました。もちろん、文字を書きやすい紙を選んでいます。」
限られた条件の中で、いかに学ぶ人の役に立つものを作れるか。ここにも新井氏の“仕掛け”があったのだ。

“ないと困る人たち”がいるからやめられない

目標が『日商簿記』だったとしても、『全経簿記』に合格したら弾みがつきますよね」
とはいえ、『全経簿記』には『全経簿記』なりの傾向がある。そこをまったく学ばずに試験に挑むのは無謀だろう。 「そこで、弊社ではこれさえやっておけば『全経簿記』は大丈夫という問題集を作りつづけているんです。正直なところ、そこまで爆発的な需要があるわけではありません。でも、ないと困る人たちがいる。だから、やめるわけにはいかないんですよ」
そう語る新井氏の目からは、「全経簿記」とそれを学ぶ人に対する深い愛情が感じられた。

  • 大企業ではないからこそ、現場の声に応えられるということもある。
    しかし、それはそんなに簡単なことではないだろう。会社であるからには、利益を生み出し、社員に還元する必要がある。
    そんな限られた条件の中で、学ぶ人に対して最善を尽くそうという新井氏の工夫から、オンデマンド印刷という“仕掛け”が生まれたのだ。すぐには諦めずになんとか解決法を模索しつづける新井氏の姿勢には、いつも感心させられる。
    『全経簿記検定試験』の問題集を制作した人は、“どんなにニッチな分野であっても、そこに学ぶ人があれば応える人”だった。

  • チキン犬(英光社イメージキャラ)