トピックス

《検定雑感》191回全経簿記2級・3級

■2級商業簿記
出題範囲が改定されて1年が経過しますが、第1問の仕訳問題では、新しい論点であるクレジット売掛金、電子記録債権債務、外貨の換算が順次出題され、出題範囲を網羅しつつあります。
第2問の計算問題では、新傾向の形式と従来からの形式の問題がバランスよく出題されています。
第3問の帳簿記入では、商品有高帳(移動平均法)の記入と金額推定の問題が頻繁に出題されています。
第4問の伝票会計では、伝票記入をしてから集計表を作成する問題、伝票記入面から集計表を作成する問題が多く出題されています。
第5問の精算表作成問題と本支店財務諸表の作成問題が、出題されています。出題範囲改定後、本支店会計の出題がどのような形式で出題されるのか様子見でしたが、ほぼ確定したようです。また、決算整理事項についてもほぼ安定した内容で出題されています。

これまでの出題で出題範囲表に含まれる論点が網羅されているとはいえません。今後どのような形で出題されるか分かりません。出題状況を見て、「完全分類全経簿記2級商簿」「全経簿記検定試験PAST2級商簿」の手直しを加えていく予定です。
弊社発行の問題集で十分対応可能と考えておりますが、さらに受験者の要望に応えるべく情報提供に努めます。


■2級工業簿記
2級工業簿記の試験が開始されて今回で6回目を迎えますが、形式的にはほぼ落ち着いているものの、出題内容がここへ来て若干難しくなっているように感じます。全く違った論点を出題しているということではなく、少し深くなっているという印象です。
パターン学習が可能だからといって、過去問題を暗記するという勉強方法ではなく、工業簿記の体系や手続きをしっかり理解する勉強方法を採ることが大切です。


■3級商業簿記
3級商業簿記の出題内容が改定されて今回で6回目を迎えますが、仕訳問題で新規の論点が少しずつ出題されていること、精算表作成問題の決算整理事項の項目が増えたことを除き改定前と難易度はそれほど変わっていない印象を受けています。
弊社の「完全分類全経簿記3級商簿」では、変更内容を先取りしていましたから、本書で学習することで十分対応可能であったと思われます。まだ、出題されていない論点がどのような形で今後本試験に登場するか予想は難しですが、いち早く情報提供をしたいと考えております。

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《検定雑感》191回全経1級原価計算・工業簿記 講評

第1問 理論問題
今回の理論問題は、一部これまでほとんど出題のなかった原価部門の設定、原価差異の算定および分析が出題されました。原価計算基準のどこが出題されてもおかしくありません。原価計算・工業簿記の学習時に触れている内容だと思われますので、語群から正答を導けなければいけません。
原価計算基準は、原価計算・工業簿記を学習する基本になる概念や手続き等が記載されたものです。受験者は必ず押さえておかなければいけないものです。範囲が広すぎて学習時間が取れないという声を聞きます。比較的出題頻度の高い項目を中心に学習を進め、10点以上の得点を狙えばよいでしょう。弊社の「全経簿記1級原価計算・工業簿記直前模試」(以下「直前模試」)は過去の実績から出題頻度の高い項目を中心に問題構成をしています。

第2問 仕訳問題
仕訳問題は、出題範囲の全般からもれなく、また、出題頻度の高い論点を中心に出題されています。出題されている論点は基本的かつ重要な内容です。

第3問 個別問題
標準原価計算の仕掛製造間接費勘定の記入が出題されました。この範囲はこれまでほとんど出題のなかった内容でしたが、過去問題出題傾向からある程度内容が絞れるため、「直前模試」で学習した受験者は満足のいく結果が得られたものと思います。

第4問 総合問題
今回は、組別総合原価計算の原価計算表の作成と各勘定記入を問うものでした。全経簿記検定の総合問題は、原価計算の手続と勘定体系がしっかり学習できていれば高得点が可能です。また、原価計算を理解する問題として、とても良い問題であると思います。原価計算を学習する人には一度は解いてもらいたいものです。出題範囲も限られ、内容も安定していますので、解くスピードを身につければ高得点が可能です。

■弊社の「直前模試」は、以上の点を考慮し、本試験に十分対応できる内容構成をとっています。11月検定対応の「直前模試」は、9月1日発行予定です。
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《検定雑感》191回全経1級商業簿記・会計学

第1問 理論問題
これまでほとんど出題のなかった、損益計算書の本質、貸借対照表の記載内容、項目の配列、資産の評価等が問われました。予想を立てるのは困難であったと思います。企業会計原則全般を学習しなければ高得点が得られなくなっています。
理論問題の範囲は広範囲であるため、これまでほとんど出題のなかった論点も含めて学習することが合格のために得策なのかを考える必要があります。「全経簿記1級商簿・会計直前模試」(以下「直前模試」)には企業会計原則と他の会計基準と合致している論点を載せるべきであろうと思います。また、企業会計原則の暗記に費やす時間を他の問題に振り向け、合格点を突破する方が効率は良いと考えます。

第2問 仕訳問題
1級の範囲として重要な論点を中心に出題されています。出題範囲改定後の論点として固定資産の減損処理が問われていました。過去出題傾向をしっかり押さえておけば高得点が可能でした。

第3問 株主資本等計算書の金額算定
問1 株主資本等変動計算書の内容は、期首繰越利益剰余金の額(期首残高を推定)と利益準備金の積立額(配当金の10分の1の積立ではない)に気を付けなくてはいけませんでした。他は特に複雑なものはありませんでしたので、(  )の金額を慌てずに埋めていけば高得点が可能でした。今後もこのような難解な問題が前提になるのか、これからの出題傾向を冷静にみていきたいと思います。時期を見て必要な情報を提供する予定です。
問2 「自己資本を期首と期末の平均値とする。」とありますので、その点に気を付ければ正解が導けたと思われます。

第4問 連結精算表
連結精算表の作成は、評価差額の計上、資本と投資の相殺が理解できていれば高得点が可能でした。また、過去に出題されている問題と類似していましたので、過去問を学習した受験者には得点源でした。

第5問 財務諸表の作成
論点は、過去出題問題とほとんど同じでしたが、ソフトウェアの手付金の処理(ソフトウェア仮勘定で処理)、生産高比例法による減価償却費の計上が新たな論点として出題されていました。少しずつ新しい論点が追加されています。
ソフトウェアに関する処理は実務でも多くみられる論点であることから、弊社の「直前模試」に織り込みたいと考えています。また、生産高比例法についても定額法や定率法と同様、減価償却方法として広く論じられていることから、「直前模試」に織り込みたいと考えています。

■11月検定対応の「全経簿記1級商簿・会計直前模試」は、9月1日発行予定です。
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《検定雑感》149回日商簿記検定3級

【総評】
第2問の勘定記入、第4問の文章題を除いて基本的な内容の出題でありました。平成31年度から出題範囲が改正されるということで、少し難しくなるのではないかと噂されていましたが、基本からずれることは無く、地道に学習している受験者の期待を裏切ることは無かったといってよいでしょう。また、31年度以降出題範囲から外される論点の出題も見られませんでした。自分を信じて基本の学習をおろそかにしなかった受験者には吉報が届くのではないでしょうか。80点を超えている多くの答案用紙が浮かんできます。全体の合格率は50%前後であると予想します。


第1問
仕訳問題は、1.貸付時に受け取った約束手形の処理、2.先方負担の発送費の処理、3.貸倒引当金を超える貸倒れの処理、4.振込手数料の勘定科目、5.固定資産の売却の処理、と基本的な論点であり、満点を取って欲しい内容です。

第2問
保険料勘定と前払保険料勘定の勘定記入面の金額と語句の選定問題でした。受験者はこの種の勘定記入の問題に苦手意識を持っています。ですが毎期継続して支払っている保険料の決算整理は、精算表の作成や財務諸表の作成で嫌というほど目にしている内容です。ただし、今年度の支払額が10%アップしているということで、当期の前払保険料の金額算定が若干難しくなっています。半分取れればよしとしましょう。

第3問
合計残高試算表の作成問題でした。内容は合計試算表から一日一取引の月中取引を加減して合計残高試算表を作成する問題でした。取引内容も基本的なものでした。また、今回は合計残高試算表の作成問題でしたので、残高試算表の作成問題で合計試算表を作成してしまった、合計試算表作成問題で残高試算表を作成してしまった、というような表の作成ミスはなかったと思います。各人の実力がそのまま得点に反映しているはずです。集計ミスに気を付けていれば満足できる得点を獲得しているでしょう。

第4問
文章題が出題されました。145回に出題されてから1年ぶりの出題です。簿記の原理が理解できていれば高得点が狙えます。今回は語群から選択する問題でしたから、文章題は今一という受験者もある程度の点数は取れたことでしょう。半分取れればよいでしょう。

第5問
貸借対照表と損益計算書の作成問題でした。今回は精算表だと山を掛けていた受験者は苦労したことでしょう。第5問は山掛けする必要はありません。財務諸表の作成問題と精算表の作成問題を平均的に学習すればよいのです。現金過不足の整理、仮払金の整理、誤記入の修正、減価償却費の月割計算、借入金の支払条件からの未払計上などの決算整理事項等が主な論点です。また、表示に関しても特有なものがありますので、それも併せて練習していた受験者は高い点数が得られたと思います。

■第150回検定対応の「日商簿記3級直前模試」は、7月15日発行です。
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《検定雑感》149回日商簿記検定2級

【総評】
今回の商業簿記は、ボリュームが豊富なうえ、特に第2問は難易度が高く、合格点を獲得するのがかなり厳しい内容であったと思われます。工業簿記は、第4問で金額算定にてこずりそうな内容が含まれていたのを除けば、従来通り高得点を狙える出題であったように思われます。それらを総合すると合格率は20%前後になるのではないでしょうか。
山掛けに頼った受験者や解答手順を誤った受験者には厳しい結果が待っているだろうと思われます。昨今の2級は、基本事項を総合的に理解し、スピーディーに解く能力が備わっていないと合格できない試験になっています。受験者には負担が大きいですが、基本事項を総合的に理解する学習を心掛けたいものです。
第1問、第4問、第5問合計で50点、第2問、第3問合計で20点以上で合格という試験だったのではないでしょうか。


第1問
仕訳問題は問題5を除き、基本的な内容でしたので、4問は正解したい内容でした。問題5は、どの時点の仕訳を求めているのかを読むのに苦労する問題でした。

第2問
商品売買取引と外貨建取引の期中取引と決算時の処理を問うものでした。初めて見る形式だと決めつけて頭の中が真っ白になってしまった受験者が多かったのではないでしょうか。よく見ると商品売買取引のうち仕入は外貨建て、販売は日本円での取引でした。処理方法は売上原価対立法でした。個別に見ればしっかり学習している内容です。持ち時間内に分かるところだけでも埋めると10点は獲得できた問題です。

第3問
本支店会計のうち本店損益勘定を作成する問題でした。予想を外されたという声が聞こえていますが、本支店会計は出題範囲に含まれている内容ですので、当然学習しておかなければいけない範囲でした。未処理事項と決算整理事項等が本支店に関するものであることを除き、通常の損益計算書や貸借対照表の作成に登場するものと同じです。
本店の損益勘定には支店純損益が振り替えられますので、本店損益の他、支店の純損益を算定する手間がかかります。自分の持ち時間では到底終わりません。途中で気が付いて支店の純利益は捨てた受験者はまずまずの点数が取れていると思います。

第4問
直接原価計算による仕掛品勘定の記入と損益計算書の作成問題でした。問題文と答案用紙をよく見て、資料を読んでいけば正解が得られる問題でした。資料の読み込みに時間を掛けすぎないことがポイントだろうと思います。[資料]7.その他の内容を各項目に当てはめることが出来れば高得点が可能でした。

第5問
工程別総合原価計算の仕掛品や完成品の金額を算定する問題でした。工程別総合原価計算の典型的な問題といってよいと思います。正常仕損費(第1工程は途中発生、第2工程は終点発生)の負担関係、正常仕損品の処分価額(完成品全体から差し引く)の処理に難しさがありますが、受験者は何度も学習している内容であると思われます。よって、20点を獲得して欲しい問題でした。

■第150回検定対応の「日商簿記2級直前模試」は、7月15日発行です。
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